Consistency from raw materials
日本の毛織物の発展史とともに、100年を超える歴史を築いてきたフカキ。その技術の進化は無数の製品に姿を変え、フカキ本社の資料室に膨大な生地サンプルとしてまとめられています。これは品質と技術を誇る日本の毛織物業の足取りを示すとともに、ファッションの流れを語る貴重な遺産です。この資料は常に新しい価値が加えられ、時代の夢を語る証人としてこれからも充実を続けます。
フランス皇帝のナポレオン・ボナパルトが1798年エジプト遠征のお土産に、妻ジョセフィーヌ・ド・ボアルネに、手紡ぎし手織されたパシュミナショールをプレゼントした。そのショールは柔らかく何とも言えないぬるみがあり、指輪の穴に簡単にすべらせて通るほどのしなやかさがあったと言われています。ファッションリーダーでもあったジョセフィーヌの影響により、瞬く間にヨーロッパ上流社会に広まり、希少で美しい肌触りと軽量で断熱性が高い長所は皇帝、貴族階級の人々を魅了し高級素材となりました。貴族たちに愛され続けてきたカシミヤ、産業の発展とともに民衆にひろまることとなったが、その希少性は依然とかわらず、高価な素材として取り扱われ今も多くの人々を魅了し続けています。
自然が与えてくれた貴重な素材、世界各地から集められたさまざまな羊毛、獣毛はフカキ工場で新たな生命を得ます。毛織物は原毛から最終製品に仕上げられるまで、品種やロットに応じた多岐にわたる製造プロセスがありますが、フカキではこれら多様な工程を独自のライン編成でトータルに行っています。またその工程では、ファッションの幅広いニーズに応える美しいカラーハーモニーを見ることが出来ます。
一色のカラーにも、数色の色を混ぜて表現することで色合いに深さがでます。フカキカシミヤ糸は全て染傷みが少なくばらつきがない風合いを保つ為、原料染色を行っています。
一色の色を作るのにいろいろな色を混ぜて作ります。この混ぜる色がノウハウで、フカキ独自の発色になります。数色に染められた原料をまんべんなく混ざるように大きなドラムの中で空中を飛ばしながら積み重ねていきます。
工場内に2機のカード紡績機が配置されています。その理由は1機は濃色用で、もう1機は薄色用です。ブレンドされた原料は4つの針山を通り、正しく整った真綿状になります。糸の太さ(番手)によりカットします。この工場では10番手から30番手まで引き分ける事が出来ます。30番手とは1kgで30,000mの糸の長さがあります。
真綿状になったものに撚りを掛け糸になっていきます。最新鋭のコンピューターミュールで微妙な調整もタッチパネルで操作、1台40mで約800錘、3列の2,400錘あります。
マフラーやストールには、房があります。房は経糸だけで構成されており緯糸はありません。この経糸部分に機械で撚りをかけていきます。昔は人の手で糸に撚りをかけていました。一反20連ありますので、一人の人が一日かけてしていました。この機械のおかげで3時間で出来るようになりました。
生地が織り上がってくると、糸が切れていたり、油汚れがあったりします。それを、補修してから生地を整理加工します。そこで、登場するのがゾンコです。この機械は生地洗いから、生地の風合いを出すための縮絨、そのあとの2回目の生地洗いまでを一気に出来てしまう素晴らしい機械です。生地の風合いが抜群に良くなるには、とても必要な工程です。
毛織物をはじめとする多彩なニット製品、メリヤス糸、織り糸など、フカキが手掛ける製品は幅広い分野にわたっています。そして一貫生産と厳格な品質管理の下に生み出された製品は優れた物流システムによりお客様のもとにお届けしています。
深喜毛織株式会社のFUKAKINET製品には紡毛カシミヤ糸に見合った様々なゲージや機種で製品を作り上げます。FUKAKINETは自社原糸の編立を扱いなれた熟練の職人がおり、ゲージ・風合い・製品時の仕立て映えを見極め、糸の特徴をつかんだ編み規格でゆっくりと丁寧に編み上げていきます。
製品を作るうえで非常に繊細な工程です。このリンキングの機械はダイヤルリンキングといいます。高級ニット製品には、カットソーの縫製と違い、ニット製品のつなぎ目を自然に目立たなくし、ニットの特性である伸縮性を損なわず仕上げる非常にデリケートで職人の熟練度が高く、神経を使う工程です。
製品にFUKAKINETのブランドタグを取り付ける工程です。このネームはFUKAKINETの製品である証でもあります。深喜毛織株式会社の長年の経験値からなる技術・職人の知識を生かした製品の出来上がる最後の工程となります。